1週間イタリアの山奥に滞在していました。
夢でした。イタリアの田舎で、生産者と密な生活をしながら、きれいな空気と新鮮なごはんに囲まれて、ゆっくり時間を過ごす、というささやかな夢が叶いました。本当に色々と感謝。
土地は、トスカーナとエミリアロマーニャの州境、パルマ県にあるBorgo Val Di Taro。
私が平成の終わりと令和の始まりを過ごしたのはこんな土地です。
青い空、堂々と構える山、春の緑がどこまでも広がる丘陵
聞こえるのは、鳥のさえずりと風が草を駈けぬける音だけ
若葉と名前も分からない花の香りが漂い
そして、春の優しく逞しい陽光が降り注ぐ。
あまりに”美しい”モーメントに、全てがまっさらになる感覚でした。

そんな土地での生活は、朝は動物のお世話を少し。
長い午前中は、一緒に住む子たちと遊んだりハイキングしたり、テラスでお勉強したり、丘で本を読んだり。この時間が1番好きでした。
お昼は、お客さんと一緒にフルコースのランチを食べたり家族でお料理したり。
夜は遅くまでゆっくりと続くディナー。
という生活を1週間。飽きるわけがない。







もちろん誰も英語を話せないので、おかげで私のイタリア語は上達し、食事に欠かせないワインの美味しさにも目覚めました。
そんな中で、 「Carenessこそが人生を豊かにする事」 に気付きました。
例えば、来る人来る人興味津々に私に質問を浴びせ、答えるとあぁでもないこうでもないと言って、またひと盛り上がりして、人にだけでなくて、動物や植物に対しても常に興味を持って話題に上げ、時間を過ごしている。
こうして周りの人や自然に関心を持ち大切にする事で、身近な面白みを吸収していて、豊かだなあ、と感じたのです。
これは私にとってはコペルニクス的転回であり、 自分を中心に世界が回っているようではまだまだで、こういう風にまわりに対するcareness(=愛)こそが人生を豊かにするのだと、喧騒を離れ本質的な豊かさをゆっくりと満喫する中で気付いたのでした。
実は、そう考えると料理って豊かさそのものですよね。
これだけ安く簡単に食べ物が手に入る中で、あえて時間と手間をかけて料理をする、というのは、人や環境への「Careness」そのもので、人生を豊かにするものだと思います。
こうして1つ、豊かな温かい時間が今の私を作っています。