大切な事を思い出させてくれた【書評『スープで、いきます』】

すごく大切な事を思い出させてくれた1冊。

「アーティスト」という言葉がぴったりな、とある経営者の世界観に、感性が揺すぶられ、共感、発見、そして憧れの気持ちでいっぱいになりました。

三菱商事からKFCに出向後、「Soup Stock Tokyo」を作り、三菱商事社内ベンチャーの形で(株)スマイルズを設立し、社長になった遠山さん。

本では「Soup Stock Tokyo」の誕生、成長、苦難、さらなる発展を描きつつ、彼自身の哲学がひしひしと伝わってきます。

この記事では私がびびっときたエッセンスをいくつか記しておきます。

感性

まず、感じること。私自身が自分の一番の強みだと思っていた事、同時に何よりも大事だと思っている事を、何百倍も解像度高くピシャリと言っています。以下、引用。

頭で考える事などは所詮限界があり<感じる事>にこそ、広がりと創造力と行動力がもたらされる…(中略)…そして実際に、<行動する事>が、頭で考えるより、ずっとパワーが必要で、しかし予想もしていなかった色々な事を生み出し、行動こそが価値を産む

どこかで聞いた事のあるような言葉ですが、私の今このタイミング、状況に刺さって、ハッとしました。

思い返せば、今までの短い人生、もっというと、より意思的に生きたこの2,3年で、まさにこの通りの事を自らのDNAに刻んでいたと思い、同時に「これで良いんだ」と背中を押されました。

会社に入ると、個人でやっているよりも、感性に従って行動する事がずっと難しくなります。

これは考えてみれば当たり前で、組織である以上、組織にとってのメリットが必要で(全体解と個別解)、かつそれを決定権限のある人に納得してもらう事が必要で、である以上、基本的に「私はこう思うからこうしたいです」っていうのがそのまま実行できるわけでもない。

そうすると、感じる機会や感じようとする気持ちを内外から小さくしていって、逆に、自分を含め人を納得させるためのロジックに走り、そうした方が安全な事もわかって、この中でどう上手くコミュニケーションをとるか、というスキルが上がっていくのだ、と思い始めました、最近。

これが、大人になることでもあり、ある意味生きていく上で必要なスキルであり、良い悪いではなく、色々と悟った気がします。

こんなの知らない無鉄砲な私は、双眼鏡で遠くから見ている事もできたのに、重厚なコサック騎士団の正面をつついてみて、痛手を食らって、夕方の朝顔のようなしぼみ方をしたりするのです。

詳しく書くつもりは毛頭ないけれど、これが私の配属後1ヶ月間の苦しみであり、社会人3ヶ月目の壁というならば、そうです。

だから、私は社会人は向いていないって何度も思うことがあったし(正直、今でも思っている)、「社会人が」という以前にこれが現実なんだとしたら、私は仙人にでもなると思います、そのうち。笑

と思っていたのですが、この本は、上記のように感性で生きて、その強みを生かしきって走り抜ける、そんな遠山さんの生き方に、非常に心が揺さぶられました。

主体性

遠山さんが山に登った時のこと。

慶応ボーイも三菱商事もなく、自分の二本の足だけで成した事に、純粋な達成感を感じ、小さな山であっても、自分自身がやり遂げて実感したことは事実であり、そこに迷いや疑いはない事を実感したそうです。

なんで私がここに刺さったか、というと、第一に、私自身が最近山登りにハマっているからであり(笑)、第二に、主体性から得る達成感は何にも変えられない、とはっと思い出したからです。簡単にいうと、深く共感したのです。

自分のプロジェクトって、どんなに小さくても可愛いのですよ。エゴが強いって言われればそれまでだし、人によって違うのでしょうけれど、自分の足で登る道は自分しか踏めない分どんなに筋肉痛でも登ろうって強く思うし、自分で作った足跡とか登ってきた道のりって疑いようもなく自分がやり遂げたことだから、その達成感も半端ではない。

そして、重要なことに、その自分で山を登った経験そのものが、自分を作るのです。

どの山に登ったか、どんなものを見たか、途中でどんな苦しみがあってどんな事を考えて何を学んだか、最後にどんな空気を吸ったのか、という経験が自分を作る。

これは、ヘリでヒマラヤに登ってしまうと、感覚的に自分を作る効能が半分になる気がします。

だから、どこで何をしていたって、常に自分の主役は自分であるというような、そういう気持を持ち続けたいと思いました。

個性

個性ってどうしようもなく素敵なのです。

なぜか私は、最近好きなものの理由を聞かれた時に「ユニークだから」と答える事が多いです。

例えば、「なんでそんなにイタリアが好きなの?」と良く聞かれるのですが、「ユニークだから」なのです。人も町も、絶対に他にない個性的なアイデンティティを持っています。

他にも、商品を選ぶ時、高級だから、人気だから、という理由では絶対に選びません。その商品の個性(Uniqueness)が魅力的なのです。

で、遠山さんは”作品性”についての部分でこんな事を言っています。

表現するということは、自分の知性や感性を丸裸にし、そして「ちっともよくない」などと批判されるリスクがある中で、自分の名前をサインして提示することです。

これは、私の中でしっくりとはまりました。個性がどうしてあんなに美しいか、というと、その脆さを乗り越えているからなのです。

芸術がかっこ良い、と思うのは、ただ絵がうまいから、演奏が上手だから、ではありません。

芸術という、いかにも個性的な営みで、人に理解されにくいものを、あえて堂々と表現して、人に理解を求めるのではなく、ひたむきに自分を表す、その強さが、どうしようもなく素敵なのです。

だから、丸くなる事なんていくらでも出来るけれど、万人に理解されなくとも角を角のまま持っておく強さに強く惹かれるとともに、自分もそうありたいな、と思うのです。そして、たぶんその方が楽しいです、自分自身。

 

余談ながら、私はピアノを弾くのですが、小さい頃ピアノがどうしてあんなに嫌いだったかというと、没個性なんですよね。いかに譜面と違わず弾くか、というのが上手であるかどうかの基準だったのです。

ところが、今は、自在に自分を表現出来るようになり、「私らしい演奏」をしてみたり、心を込める事が出来るようになったのです。今ピアノが好きになれた理由はここにあるのではないかな、と思います。

付録:やってみたいこと

本の中でスマイルズがやっている面白い取り組みで実際に私たちもやってみたいことを挙げてみます。

1. 文化祭出店

遠山さんの母校の慶応大学で、文化祭にSoup Stock TokyoとTokyo Reuxが出店したそうです。

主に新卒のメンバーが中心となって、店を切り盛りし、最後には完売して感動した、みたいなエピソードがあって、これ私たちもやりたいな!と思ったのです。

例えば、私の母校の東大は、5月に本郷で五月祭をやります。ここでCookpadが出店すれば、
・同期の仲を深める(5月はまだ研修期間)
・自分たちの料理を誰かに喜んでもらえることの楽しさを知れる
・Cookpadの新卒に対する認知度をあげる
あたりの効果が期待出来るのではないでしょうか。

 

2. 社員ファミリー制度

スマイルズでは、「ファミリー制度」といって社員が擬似的にファミリーになる制度があるみたいなのです。

そこで、お母さんがきめ細やかな優しさを発揮して、お兄さんが時には厳しく励ましてくれて、お父さん役がたまにご飯に連れて行ってくれて、みたいな。

この制度があること自体、温かい会社ですよね。

私は家族が大好きなので、会社にも家族できたら嬉しいと思って、個人的にこの制度が気に入りました。

 

ということで、なかなか直球どまんなかに刺さる本だったので、おすすめです。

Soup Stock Tokyo、ひさびさに行こうかな。

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