Fintech、融資審査テクノロジー、スコアリングとは<卒論・本論1-1>

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テーマ
「テクノロジーの途上国への貢献」
~FintechによるUnbankedへのリーチを事例に、テクノロジーがケイパビリティ向上させる可能性を考える~

1.Fintechはクレジットアクセスを拡大するか?

2.クレジットアクセスの拡大は人々のケイパビリティ向上につながるのか?

 

1-1. 定義、認識の共有

 

Fintechとは

Financial Technology、通称Fintech(以下、Fintech)とは、金融分野におけるテクノロジー全般を指す。

カテゴリーとしては、融資、決済、送金、資産運用、投資、会計などがある。

お金に関して、従来、対面、人力、アナログで行っていた業務を、インターネットやデジタル技術を使ってより効率的に行う事を可能にするテクノロジーをFintechと定義している。

Fintech Map

参考:https://venturescannerinsights.wordpress.com/2015/08/18/making-sense-of-the-fintech-startup-ecosystem-2/

Fintechの動向

Fintechは2008年のFintech 3.0を起点に金融分野における大規模なテクノロジー浸透が始まった。

FinTechスタートアップによる資金調達額やFintech企業のエグジットのデータを見ると、特に2014年以降、急速に右肩上がりに増加している事から、この3年顕著に盛り上がりを見せているといえる。

Fintechスタートアップ調達額と企業数

出典:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-07-25/funding-for-fintech-startups-poised-to-hit-a-record-in-2017

エグジット数

出典:https://www.venturescanner.com/blog/2017/financial-technology-exits-by-category-and-by-year-q3-2017-2

融資審査テクノロジーとは

Fintechの中でも、融資審査において、顧客に信用力がある(credit worthy)かどうかを判断する際に使われるテクノロジーを融資審査テクノロジーとする。

従来、担当者が過去の取引記録やビジネスのキャッシュフローなどから主観的に与信を行っていた所を、モバイルの決済データやSNS・電話記録など手に入るあらゆるデータを使って機械で独自のクレジットスコアを算出し、自動で融資判断を行う技術を念頭に置いている。

融資審査は、個人客と法人客があり、融資審査テクノロジーもその両方を対象にする。

今回の論文では、途上国開発において、金融・その他の様々なサービスを届ける上で、最も重要な基盤となると考え、Fintechの中でも融資審査テクノロジーに焦点を当てる事にした。

与信の方法の変化

「伝統的な手法による与信→過去データ与信→ビッグデータ与信」

従来は、担当者が顧客との対話や過去の実績などをもとに与信を判断し、融資を決定していた。

2000年代になると、個人顧客ではクレジットスコア、法人顧客ではスコアリングモデルが盛んに利用されるようになり、過去の実績をより精緻にデータとして集計し、統計モデルなどを使って、返済能力を数値スコアとして算出するようになった。

さらに、近年では、そのような過去のデータだけでなく、一見直接かかわりのないような金融に限らない様々なデータを駆使して与信を行うビッグデータ与信が試みられている。

参考:https://crowdcredit.jp/blog/entry/292/

クレジットスコアとは

個人を対象とした「信用偏差値」として、顧客の返済能力を数値として出したもの。これをもとに、融資の可否や条件(利率、期間、額)が決められる。

アメリカではFICOスコアとして、集まった金融機関の利用情報と事故情報を元に、各顧客のクレジットスコアが算出され、融資の際だけでなく、就職や入居審査の際も考慮される数字となっている。

参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/9453/

 

本論文においては、伝統的なクレジットスコアとFintechによる非伝統的なクレジットスコアを区別する事が重要であるので、その定義まで明らかにしておく。

「伝統的なクレジットスコア」とは、金融機関から集められた人々のクレジットカードや銀行口座の利用情報や事故情報をもとに、顧客の信用度を判断する数値として算出されるスコアを指す。

一方で、Fintechが可能にしている「非伝統的なクレジットスコア」とは、過去の利用情報や事故情報だけでなく、例えばスマートフォンにたまったデータなど、信用度を判断する材料となりうる様々なデータを網羅的に利用して算出したクレジットスコアの事をいう。これにより、特に途上国では大半を占める銀行口座を持たないUnbankedの人々に対しても、信用度を数値で判断する事が出来るようになる可能性を持つ。

スコアアリングモデルとは

一方、法人を対象に、統計的に行う与信は、スコアリング・モデルと呼ばれる。

信用スコアリングモデル(倒産確率モデル)は、判別分析や回帰分析といった統計手法を用いて、主に財務指標から個別企業の信用リスクを評価する統計モデルの事で、従来、金融機関の担当者が主観的に判断していたところを、ITを使って数値として判断している。

参考:https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun0908_04.pdf

 

以上の定義を前提に、本論文では、テクノロジーの途上国開発への影響を検証するについて、Fintechを事例に以下の2段階で検証する。第一段階で、Fintechの融資審査テクノロジーがいかにUnbankedへのクレジットアクセスを拡大するかについて、論文や自ら東南アジアのFintechスタートアップに訪問してヒアリングした事をもとに、定性的・定量的に検証する。第二段階として、そうしたUnbankedの人々へのクレジットアクセスの拡大がどのようにして彼らのケイパビリティ向上につながるのかについて、先行研究を参考に検証する。

この2段階の検証を通して、テクノロジーが途上国開発に与える影響やその意味を適切に理解し、今後の社会が向かうべき方向性や自らが成し遂げたい事への考察に繋げる。

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